パワーハラスメント

実例で解説!暴言以外のパワハラ行為とはどのようなことか

暴言以外でもパワハラになりますよ

パワハラになる暴言以外のケース「言うことを聞かないと嫌がらせをする上司」

C部長(53歳)は、中堅の広告代理店で長年、部長職をしている。

このC部長は、自分の指示にすぐ従わなかったり、異論を唱えたりする部下には「バカヤロー」「辞めちまえ」「給料泥棒」などと怒鳴り散らすことがしばしばあった。

また、自分がプライベートで活動しているNPOの冊子を会社で配り、その内容を理解しているかどうか部下に確認することもあった。

そしてそれを断る部下に対しては、執拗な嫌がらせを繰り返していた。

たとえば、契約社員のDさんには、自分が提案した業務の遂行方法をしていなかったことを、「オレの言うことをきかないということは懲戒に値する」という理由で、「今後このようなことがあった場合には、どのような処分を受けてもいっさい異議はございません」という始末書を無理やり書かせていた。

また、会議でDさんが業務改善の提案をしても「お前はやる気がない。なんでこんなことを言うんだ。明日から来なくていい!」と怒鳴ったりした。

また、タバコを吸っている契約社員のEさんには、「お前はタバコ臭い」という理由で、冬にもかかわらず1日中、扇風機を当て続けた。

それは12月ごろから翌年の5月まで断続的に続き、その結果、Eさんは抑うつ状態となって、1ヵ月休職することになってしまった。

別の契約社員Fさんは、事務所の席替えのときに突然C部長から「うるさい! 静かにやれ」と言われて背中を殴られたり、面談のときには「仕事がうまくいかないなら、お前が職を失うだけだ」と言われ、さらにイスに座ったままヒザをけっとばされたりした。

また、「よくこんなヤツと結婚したな。もの好きもいるもんだ」と、妻をバカにするようなことを言った。

Dさん、Eさん、Fさんは、3人で共同して会社にC部長の嫌がらせを直訴したが、会社は何も対応をとらない。

むしろこのまま自分たちの契約が終了してしまうのではないか、と不安な日々を送っている。




パワハラになる暴言以外のケースを解説

暴言以外でも、裁判で違法と判断された行為はあります。

2011年の日本ファンド(パワハラ)事件(東京地裁平成21年(ワ)第11541号 平成22年7月27日判決)では実際に、上司が気に入らない部下2名に対して、真冬に扇風機を当て続けたことが明らかになりました。

そのような行為に対して、「長期間にわたり執拗に2名の身体に著しい不快感を与え続け、それを受任することを余儀なくされた2名に対し、著しく大きな精神的苦痛を与えた」とし、不法行為と認定しました。

また、暴力行為は当然のごとく、「なんら正当な理由もないまま、その場の怒りにまかせて殴打したものであるから、違法な暴行として不法行為に該当する」としました。

また、始末書を書かせた点や、業務改善の提案について「明日から来なくていい」などといった点、妻をバカにした発言については、被害者が契約社員(有期雇用)であったことを考慮して、「被害者に雇用を継続させないことがありうる旨を示唆することにより、今後の雇用に対する著しい不安を与えた」ため、これらの行為を社会通念上、許される業務上の指導を超えて、被害者に過重な心理的負荷を与える不法行為としています。

そして、この裁判では、このような行為が上司としての職務遂行中に行われていることから、会社の使用者責任も認めています。

暴言や暴力行為だけでなく、上司側の理不尽な嫌がらせに対しても、会社に責任があることを認めたのです。

さらに、この判決では正規雇用者よりも有期雇用者の方が、同じ発言を受けても雇用不安が強まり心のダメージが重くなるということを示唆しています。

非正規雇用者が増えている職場でのパワハラは、会社にとって大きなリスクとなっています。