パワーハラスメント

あなたは大丈夫ですか?パワハラを起こしてしまう理由はこんなこと!

パワハラをする工場長

パワハラ加害者の気持ちを考えてみましょう

では、パワハラはなぜ起きるのでしょうか。

その原因はさまざまで、そもそも加害者に問題がある場合、被害者に問題がある場合、そしてパワハラを引き起こしてしまう環境に問題がある場合があります。

ここでは知らず知らずのうちにパワハラをしてしまう人の立場に立ち、パワハラは「コントロールできなくなった否定的感情が生み出すものだ」と定義してみます。

否定的感情とはどのようなものかといえば、怒り、不安、嫌悪感、劣等感、焦燥感が主です。

しかし、逆に、優越感、万能感など、行き過ぎた肯定的感情もハラスメント行動のもとになる例があります。

では、その感情がどうして起きるか、少し分析してみたいと思います。例をあげますので、いっしょに考えてみましょう。

パワハラ事例:ある地方の営業所の場合

Cさんは、あるメーカーの地方営業所で事務職として働いている。

その営業所は、所長と男性の営業員の5人ほどの小さなところだ。所長は、部下の指導も含めて、なんでも自分でやらなければならない。

このところ営業所の成績が思わしくなく、どうも所長は焦っているようだ。

最近、以前からあまり成績を上げていないDさんがターゲットになっている。

Dさんは仕事が遅く、所長が何度か指導をするものの、いっこうに効率が良くならず、目標を立ててもクリアできないという状況が続いていた。

所長が指導をはじめるとだんだんと声が大きくなっていくが、Dさんはますます何も言えずに小さくなっている。

せまい営業所なので、見ようとしなくても見えてしまうし、聞こえてしまう。

所長からは具体的な指導はなく、「そのくらいはできて当たり前だろう。気合いが足りないからだ。気合いを入れろ」というくらいしか言っていない。

最近では、所長のイライラがさらに募り、「お前はみなの足手まといだ」と言って大声で怒鳴ったり、帰社が遅くなると「あいつ、どっかでさぼっているんじゃないか」「あんなヤツはいらないな」などと、みなに聞こえるように言う。

Dさんが所長に何か聞いても無視して、いつも不快な顔をしていた。




自分の価値観を押しつけるとパワハラになってしまう恐れが

このような状況について、少し細かく分析してみましょう。

もちろん、人の感じ方や考え方はそれぞれで、反応も違うということを念頭に置いてください。

たとえば、所長が指導をしている場面を切り取って、所長自身に起きていることを検討してみましょう。

部下の成績が伸びないのにはさまざまな理由があるはずです。しかし、この所長の頭の中に思い浮かぶのは、「気合いが足りん」「男のクセにだらしない」だけだとします。

たいていの場合、本人は無意識なのですが、そのとき「焦りやイライラ」を感じています。

それが、「気合いが足りん」という言葉を発したり、大声で怒鳴ったり、バカにしたり、しかめっ面をしたりという表現になっています。

体の中では血圧が上昇しています。そうなってしまうと、ますます自分の中でエキサイトして、感情がコントロール不能になってくるのです。

この状態をつくり出しているのは、外部情報、つまり部下の成績が悪いということに対する所長のとらえ方です。

所長は部下の成績が悪いという情報に対して、気合いが足りない、男のクセにだらしないと受け止めています。

しかし、この部下の問題は「気合いが足りない」だけではなさそうです。

気合いが足りなかったり、なまけたりしているわけではなく、知識やスキルが足りないのかもしれません。

お客様との信頼関係を重視して、じっくり成果をあげるタイプなのかもしれません。

また、何か健康状態に問題があるなどという場合もあります。原因は、「成績が上がらない=気合いが足りない、なまけている」ばかりではないのです。




では、どうしてこのように思い込むのでしょうか。

それは、人それぞれの考え方、価値観が影響していると考えられます。この所長は「人は放っておけばなまけるものだ」、あるいは「男は仕事で価値が決まる」という考え方を根底に持っているようです。

このような考え方は、自分が大切な価値観として守ってきたものだったり、親や先生から言われて育つ間に知らず知らず身ついたりしている考え方です。

一般的には、物事は完璧に進めなければならない、努力をしなければならない、常に人には感じよくしなければならないなどという「価値観」を、目上の人から受け継いでいるものです。

しかし、これらの考え方に強くこだわっていると、外部からの情報に対して、ワンパターンの反応をしてしまう可能性があります。

つまり、「成績が悪いのは、気合いが足りないからだ。そもそも人は放っておけばなまけるものだ。それはけしからんことだ」と自動的に関連づけて、「だから教育をしよう」と、自分の考えを押しつけていきます。

それが結果的にいい方に動けばよいのですが、部下の行動が変わらないとなると、だんだんと焦り、イライラが高じて怒りになっていきます。

また、それが適切に表現できずため込んだりすることで、ますます状況にそぐわない不適切な反応をしていきます。これが、だんだんと深刻なパワハラヘと発展していくのです。